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ヤナギの3機器による診断と検証その1

樹木診断

| posted by nogami

富山市内の某施設敷地内のヤナギの木からキノコが発生しているので診断をしてほしいとの依頼がありました。

良い機会なので、3種類の機器を用いて診断し、その比較と検証を行うことにしました。

使用する機器は以下の3種です。

・貫入抵抗測定器 (機種名 レジストグラフ PD600)

 回転する錐を樹木に貫入し、その抵抗力を測定することによって内部の腐朽や空洞を検出する機器(抵抗力大→健全 抵抗力小→腐朽・空洞)

・多点式応力波速度測定機 (機種名 アーボーソニック3D)

 樹木に複数個設置したセンサー間の応力波の伝播速度を測定し、内部の腐朽・空洞の位置・大きさを解析する機器

・多点式音響波樹木内部診断機 (機種名 ドクターウッズ)

 樹木に複数個設置したセンサー間の音響波の伝播速度を測定し、内部の腐朽・空洞の位置・大きさを解析する機器

診断対象は樹高約13mのヤナギです。

tree.jpg

幹と根元に見事なコフキサルノコシカケの子実体が発生していました。

R0011574.JPGR0011575.JPG

診断高さは根元のコフキサルノコシカケ付近を設定しました。

診断の結果、

・レジストグラフ  腐朽空洞率:72.9%

・アーボーソニック 腐朽空洞率:75.0%

・ドクターウッズ  腐朽空洞率:75.1%

いずれの結果も、閾値である50%を大きく上回っており、倒木の可能性が高いため、直ちに伐採が行われました。

その切り株

stump.jpg

かなり空洞化が進んでおり、空洞の底には、腐朽によって腐り落ちたと思われる茶褐色の腐植が溜まっていました。(白色のものはチェーンソーによる切り粉です。)

空洞でない部分も、スポンジ状に腐朽している部分があったため、写真からトレースし、線引きを行いました。

photomap.jpg

青色の線の内側が空洞。赤色の線の内側が腐朽部分。緑色の内側が健全部です。

これらを塗りつぶしてピクセル数を面積として腐朽空洞率の実測数値とします。

photomap2.jpg

青色部分:B=262,908px

赤色部分:R=  27,040px

緑色部分:G=  18,762px

空洞率=B /(B+R+G)      = 85.1%

腐朽空洞率=(B+R) /(B+R+G)= 93.9%

・・・測定値より随分大きい数値が出てしまいました。

ほぼ維管束しか残っていない状態ですね。

さて、次回からは測定結果と比較して検証を行っていきます。

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