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2017年3月 アーカイブ

最後に、ドクターウッズによる測定結果について検証します。

以下がドクターウッズにより解析されたコンター図とCT図です。

photomap_dw.jpgphotomap_dw2.jpg

一つ目の写真はコンター図と言い、音響波の伝播速度の分布を表した図です。等高線状になっている線は等速線で、その密度が高い部分は、それだけ伝播速度が急激に遅くなっている、つまり腐朽が進行している部分ということが分かります。

東側の辺材部分に注目してみると、等速線の密度が高く、腐朽が進行していることが分かります。これは他の機器と同様の結果です。

しかし、CT図を見てみると、少しおかしいことが分かります。分かりやすくするために、レジストグラフによる測定結果と重ねてみます。

photomap_dw-re.jpgphotomap_as-re.jpgのサムネイル画像

2枚目にアーボソニック3Dによる測定結果も併せて示します。

腐朽していると予想される部分が他の機器と比べてかなり北西側にシフトしています。レジストグラフとアーボソニック3Dでは東側の方が腐朽が進行していると予想していますが、ドクターウッズでは西側のほうが腐朽が進行しているように見えます。

これはどういうことでしょうか?

問題の北西部分に注目してみましょう。黒い三角はセンサーが取り付けてあった箇所を示しています。

dw_up_01.jpg

あっ。

隣接するセンサー間まで腐朽・空洞部が張り出していました。

これでは辺材部分が完全に腐朽してしまっていると検出されても仕方ありません。

これまでここまで腐朽が進行している樹木を診断したことがなかったため、この事態は完全に想定外でした。

センサーは以下の図のように取り付けるのが適切でした。

re_sensor_01.jpg

このように取り付けてあれば樹木の形状も忠実に再現され、辺材の建全部も検出され、腐朽している部分も正確に表示されると考えられます。

しかし、センサーの数は16点と限られているため、ここで5点使ってしまうと残り全てを11点でカバーする必要があります。よって、センサーの取り付け位置は吟味に吟味を尽くして選定する必要があります。

特に大径木の地際は更に複雑な形をしている可能性が高いです。

ドクターウッズから発する音響波は高出力であり、大径木でも診断できることが期待できます。

よって、どのような形状の樹木にも対応できるように、経験を積んで知見を広めることが必要だと考えられます。

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次はアーボーソニック3Dによる測定結果を検証します。

photomap_as.jpg

緑色の部分が健全部、黄色~赤色が腐朽していると予想される部分、青~白色が空洞化していると予想される部分です。

実測線と比較すると、かなり高精度で一致していることが分かります。

ここにレジストグラフによる測定結果を重ね合わせてみましょう。

photomap_as-re.jpg

レジストグラフによる測定結果と同様、西側の腐朽部に比べて東側の腐朽部のほうが腐朽が進行していることが検出されています。

アーボーソニック3Dは大径木の測定が苦手とされていますが、直径90cm程度の樹木であれば、かなり高精度で測定が可能であることが分かりました。

次回はドクターウッズによる測定の検証を行います。

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前回からの続きです。

切り株と診断結果を重ね合わせて検証していきます。

まずはレジストグラフ(※クリックすると拡大します)

photomap_resi.jpg

南側から45°置きに8方向から貫入し測定を行いました。(0時の方向を北とします。)

白い帯は健全部、黒い帯は異常部を示しています。

健全部と異常部の境に注目してみると、北東・東・南東・南方向では赤い線より異常部が始まっているのに対し、南西・西・北西・北の方向では青い線から異常部が始まっているのがわかります。

各方向、材がスポンジ状になっているものの、西側は十分い強度が残っているのに対し、東側は強度が弱くなっていると考えられます。

実は、コフキサルノコシカケの子実体が発生していたのは東側で、東側のほうが腐朽が進行していたと考えれば、以上のような結果が出たのもうなずけます。

よって、レジストグラフは樹木の内部を忠実に表現できる機器ということが言えます。

次回はアーボーソニックの結果の検証をします。

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富山市内の某施設敷地内のヤナギの木からキノコが発生しているので診断をしてほしいとの依頼がありました。

良い機会なので、3種類の機器を用いて診断し、その比較と検証を行うことにしました。

使用する機器は以下の3種です。

・貫入抵抗測定器 (機種名 レジストグラフ PD600)

 回転する錐を樹木に貫入し、その抵抗力を測定することによって内部の腐朽や空洞を検出する機器(抵抗力大→健全 抵抗力小→腐朽・空洞)

・多点式応力波速度測定機 (機種名 アーボーソニック3D)

 樹木に複数個設置したセンサー間の応力波の伝播速度を測定し、内部の腐朽・空洞の位置・大きさを解析する機器

・多点式音響波樹木内部診断機 (機種名 ドクターウッズ)

 樹木に複数個設置したセンサー間の音響波の伝播速度を測定し、内部の腐朽・空洞の位置・大きさを解析する機器

診断対象は樹高約13mのヤナギです。

tree.jpg

幹と根元に見事なコフキサルノコシカケの子実体が発生していました。

R0011574.JPGR0011575.JPG

診断高さは根元のコフキサルノコシカケ付近を設定しました。

診断の結果、

・レジストグラフ  腐朽空洞率:72.9%

・アーボーソニック 腐朽空洞率:75.0%

・ドクターウッズ  腐朽空洞率:75.1%

いずれの結果も、閾値である50%を大きく上回っており、倒木の可能性が高いため、直ちに伐採が行われました。

その切り株

stump.jpg

かなり空洞化が進んでおり、空洞の底には、腐朽によって腐り落ちたと思われる茶褐色の腐植が溜まっていました。(白色のものはチェーンソーによる切り粉です。)

空洞でない部分も、スポンジ状に腐朽している部分があったため、写真からトレースし、線引きを行いました。

photomap.jpg

青色の線の内側が空洞。赤色の線の内側が腐朽部分。緑色の内側が健全部です。

これらを塗りつぶしてピクセル数を面積として腐朽空洞率の実測数値とします。

photomap2.jpg

青色部分:B=262,908px

赤色部分:R=  27,040px

緑色部分:G=  18,762px

空洞率=B /(B+R+G)      = 85.1%

腐朽空洞率=(B+R) /(B+R+G)= 93.9%

・・・測定値より随分大きい数値が出てしまいました。

ほぼ維管束しか残っていない状態ですね。

さて、次回からは測定結果と比較して検証を行っていきます。

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