INFORMATION » 2011年12月 アーカイブ|富山県のガーデニング・エクステリア・庭づくり・造園の提案施工「野上緑化」からのお知らせやイベント情報、日記などを更新しています。

HOME » INFORMATION » 2011年12月

2011年12月 アーカイブ

 中華民国100年11月20日、あいにくの天気の中、いよいよ「保護活動」が始まります。
活動内容としては、①サクラ衰弱木の保護活動と②挿し木による増殖活動を現地のボランティアの方と協働して行います。

CIMG1935.JPG

まずは嘉義林區管理處長による歓迎の御挨拶があり、その後二班に分かれての活動となります。

CIMG1920.JPG

2年前に不定根誘導処置を施した対象木も健在でした。

CIMG1928.JPG

湿度が高いせいか、かなりの発根量です。

CIMG1931.JPG

一部の根は地面に達しており、今回はこれらの根を更にしっかりと活着させるための処置を行いました。

CIMG1958.JPG

地元ボランティアの方に活動内容を説明して、台湾内の数少ない大事な桜の名所の保護について理解を深めて頂きました。

CIMG1973.JPG

ボランティアの方にも、実際にエアスコップによる土壌改良作業を行って頂きました。素人とは思えない手際の良さでびっくりしましたが、結構楽しんでやって頂けたようです。

CIMG1993.JPG

サクラ保護活動班。有賀リーダーと永石隊長、小田班長。

CIMG1945.JPG

挿し木増殖活動は「紅檜」「ソメイヨシノ」「牛樟木」の3種で行いました。特に写真の「牛樟木(ベニクスノキ)Cinnamomum kanehirae Hayata」は、もともと大きなものが少なかった上に、材が好まれたのとベニクスノキタケ(牛樟芝Antrodia camphorata)という最高級の漢方薬原料となるキノコ(霊芝より高級でその粉末は600gが20万元で取引されるとのこと)が取れるらしく盗伐され絶滅の危機に瀕しているとのことです。

CIMG2012.JPG

阿里山での保護活動が終わり、今回も色々とお世話になった劉先生には街路樹診断協会の技術顧問になって頂きました。

CIMG2004.JPG

また、阿里山活動の下準備や資機材の手配等何から何までお世話になった、台湾愛樹保育協会様には感謝状が贈られました。

CIMG2019.JPG

阿里山賓館のフロントに飾られている「阿里山神木」の写真

 阿里山のシンボルだった「神木」はもうありませんが、日本統治時代に日本人によって植えられ始めた「櫻花」と、日本によってひかれた「森林鐵道」が、その後台湾の方々に引き継がれ、現在では阿里山のシンボルとなっていることは大変光栄であり、それらを後世に繋げるために、今回我々が微力ながらお手伝いできたことと、スタッフの皆様のご協力に感謝しております。

12月20日に富山県庁森林政策課で樹木医合格証の伝達式がありました。

CIMG2152.JPG

富山県で25人目の樹木医となられた、大村充さん(魚津市:大村造園)おめでとうございます。
(写真右から小杉森林政策課長、大村さん、西村支部長)

CIMG2150.JPG

伝達式後に談笑される皆さん。例年にも増して報道陣の方が多くてびっくりしました。

中華民国100年11月(平成23年11月)、昨年2月に処置した阿里山桜の検証を行うべく再度訪台しました。

前回のボランティア訪問が評価されたのか、今回はしっかりとした事業となっております。

CIMG1919.JPG

事業名:日台共同事業『樹木の診断治療・遺伝資源の保護活動と樹木の診断治療・健全
育成のためのシンポジウムの開催』
主 催:一般社団法人街路樹診断協会、台湾行政院農業委員会林業試験所
共 催:一般社団法人日本樹木医会、台湾行政院農業委員会林務局
後 援:台湾愛樹保育協会 他

CIMG1900.JPG

到着したその日に阿里山へ向かいます。標高差約2000mを約50kmの道のりで駈け登るので相当な縦断勾配のワインディングロードです。前回に引き続き今回も激しく酔いました。

CIMG1899.JPG

前回訪問時もお世話になった劉先生(樹木医)が、今回も全面協力して下さいました。その劉先生が途中でバスを停め、我々に「檳榔(ビンロウ)」なるものを購入して下さいました。

CIMG1905.JPG

 阿里山へ向かう途中のビンロウジュ林

CIMG1911.JPG

檳榔(製品)

CIMG1915.JPG

 分解した檳榔

檳榔とはヤシ科のビンロウジュ(Areca catechu)の種子と石灰(酸化カルシウム)をキンマ(コショウ科の植物Piper betle L.)の葉で包んだ嗜好品です。このまま口に入れ噛んでいると軽い興奮と酩酊感があり、口の中が真っ赤になります。最後に噛み残ったものは捨てます。種子に含まれるアレコリンというアルカロイド(ニコチンと同様の物質)による作用とのことで、石灰を入れるのはこの成分を抽出しやすくするためです。
昔は地場産だったビンロウジュの種子も、最近は東南アジアからの安い輸入品が主に流通しているそうです。

CIMG1917.JPG

ちょっとした手違いで2人部屋に4人で泊まることになりましたが、阿里山賓館のダブルベッドは広くてそれほど苦になりません。(山下副団長のイビキは除く)
長距離移動と高粱酒で皆さんかなりお疲れですが、気持ちを切り替え明日の活動の最終打合せを行います。

CIMG1918.JPG

阿里山での前線基地となる林務局「阿里山工作站」。現地スタッフの皆さんのおかげで何とか本番に漕ぎ付けることができました。(多謝) 

 春に向かい、なんとなく人々は日本が明るくなるのでは、と芽吹き期を感じていたところ3.11で国や世界が震撼した、あの大災害から間もなく九ケ月。

国全体が沈滞意気消沈しがちな折「なでしこJAPAN」がどれだけ私らに勇気を、希望を、連帯感を与えてくれたことか!流行語でなく勇気、希望、連帯感の「象徴語」として今後も永続していくのではないだろうか。

11月11日生まれの私は、米での9.11テロそして3.11と、共通数を持っているので、厄除けの願いから「なでしこ」を植え、増やそうとしていますが新品種続出でとても追いつかない。その中で最後には「カワラナデシコ」の清楚な様姿、色合いに一番心魅かれる。

経済の数的発展だけが人類の幸福になるのだろうか?「原点回帰」で衣食住のレベルを昭和30年代に戻すことは無理なのだろうか。あの頃、物は少ないが近隣とのコミュニケーションが多くあった。