最後に、ドクターウッズによる測定結果について検証します。
以下がドクターウッズにより解析されたコンター図とCT図です。
一つ目の写真はコンター図と言い、音響波の伝播速度の分布を表した図です。等高線状になっている線は等速線で、その密度が高い部分は、それだけ伝播速度が急激に遅くなっている、つまり腐朽が進行している部分ということが分かります。
東側の辺材部分に注目してみると、等速線の密度が高く、腐朽が進行していることが分かります。これは他の機器と同様の結果です。
しかし、CT図を見てみると、少しおかしいことが分かります。分かりやすくするために、レジストグラフによる測定結果と重ねてみます。
2枚目にアーボソニック3Dによる測定結果も併せて示します。
腐朽していると予想される部分が他の機器と比べてかなり北西側にシフトしています。レジストグラフとアーボソニック3Dでは東側の方が腐朽が進行していると予想していますが、ドクターウッズでは西側のほうが腐朽が進行しているように見えます。
これはどういうことでしょうか?
問題の北西部分に注目してみましょう。黒い三角はセンサーが取り付けてあった箇所を示しています。
あっ。
隣接するセンサー間まで腐朽・空洞部が張り出していました。
これでは辺材部分が完全に腐朽してしまっていると検出されても仕方ありません。
これまでここまで腐朽が進行している樹木を診断したことがなかったため、この事態は完全に想定外でした。
センサーは以下の図のように取り付けるのが適切でした。
このように取り付けてあれば樹木の形状も忠実に再現され、辺材の建全部も検出され、腐朽している部分も正確に表示されると考えられます。
しかし、センサーの数は16点と限られているため、ここで5点使ってしまうと残り全てを11点でカバーする必要があります。よって、センサーの取り付け位置は吟味に吟味を尽くして選定する必要があります。
特に大径木の地際は更に複雑な形をしている可能性が高いです。
ドクターウッズから発する音響波は高出力であり、大径木でも診断できることが期待できます。
よって、どのような形状の樹木にも対応できるように、経験を積んで知見を広めることが必要だと考えられます。